家、ついていってイイですか?
ぼくの嫁さんは「密着警察24時」が大好きだ。自宅のテレビは1週間分の番組を自動で録画してくれるのだけれど夕食が食べ終わって後片付けして少しのんびりした時間になるとリモコンを取り出して番組メニューからこの手の警察シリーズを探し出してチャンネルを切り替える。ぼくはまったく気づいていなかったのだけど、いくつかの放送局が警察や交番を密着して記録した番組を放送していて激撮や激録警察24時、福岡中洲交番24時、仙台で有名な国分町交番での人間ドラマが好きなようだ。ほかに好きな番組はテレビ東京の「家、ついて行ってイイですか?」だ。嫁さんはこれは警察24時とちがって深夜にひとりでシンミリと観るのが好きらしい。駅前や繁華街で深夜に声をかけてタクシー代金負担するので自宅へついて行って話を聞かせてもらうというドキュメンタリー番組といってもかな?嫁さんに先立たれて一人でくらす老人やついて行った先の家がゴミ屋敷だったりと意外な展開がそれなりに興味深く引き付ける。嫁さんは番組で繰り広げられる人生ドラマの過去と未来について頭の中で想像をめぐらせて時には番組以上に自分で想像して感傷に浸っているようだ。たまにだけど僕も一緒に観るときもある。それなりに楽しいのだけど僕が横でピーナッツをビールでバカ食いしていると不機嫌になるのだ。この番組を一緒に観るときは焼酎にしたほうがよさそうだ。
話は変わるが、ぼくの嫁さんは部屋の飾り付けにはちょっとしたこだわりがあって、いつもどこかしら小さな小物の場所を変えたり新しく人形を追加したりしている。これがまた無頓着な僕には変化が分かりづらくいつも小さな喧嘩というか言い合いになると「あんたは私が飾っているものにも気づいてへんやんけ」と始まるのだ。たまにだが、変化に気づいて気を使って「あれ、あの小物買ってきたんだぁ」とか言おうものなら「やっぱり気付いてなかったな、先週やで、買ったの」と墓穴を掘ってしまう始末だ。どうしても慎重にならざるを得ないのだ。そして「余計なころは言わない」これに限る。そぉ~としておくのが一番なのだ。かと言って、嫁さんは専業主婦なので基本は家で過ごしている。朝、僕を送り出してからは家事をして家にいる間は誰とも会話をしない日々を送ってくれている。ごくたまにではあるが知り合いの同年代の奥さんとランチを兼ねて「会話」を楽しんで過ごしているようだ。そうは言っても女性は曲りなりにも夫の僕と会話をしたいと思っていてくれているらしいフシはある。ようだ。たぶん。たまに発生する喧嘩の時、ぼくは徹底的に無口を決め込む。嫁さんも無口になる。数日が過ぎて無口に疲れてくると何かの拍子に目が合うと一気に気持ちが溢れでてくるのだろう、「もぉ~」と言って目を赤くしてとびかかってくるのだ。そうして喧嘩が終わる。毎回の事だけど僕はこんな嫁さんが大好きだ。