しょっくなお買い物
僕の嫁さんは買い物が好きだ。ブランドものを買いあさるということではなくて(それも当然、嫌いじゃないとは思っているんだけど)日々の買い物が大好きなのだ。買い物のためにはとにかく歩く、歩き回る。あっちのスーパーではあれが安かった。これを買うならあそこのお店だ。でもその前にこっちのディスカウントスーパーで値段だけ確認してから行ってみようって感じにとにかく歩き回る。歩き回るために頭の中にきっちりと値段のデータベースが出来上がっているのだ。これはあっちのお店で〇〇〇円だったからここでは買わない。あっ!これ安いわ!と的確な判断で買い進む。それでもたまに極たまにではあるが大きくハズレる時がある。
玄関が開く音がした。リビングに足音が近づいてくる。「ただいまぁ」の前にため息と一緒に
「ショックやわ」かなりの落ち込みようだ。
「どしたん?」リビングでパソコンの指をとめて聞くと
「損したわ」
「えっ?」
「じゅうなんざい」 くちをとがらせて小さな声でつぶやいた。
「柔軟剤?」
「・・・が、どうしたの?」
「買ってから次の店行ったら3本まとめ買いで安売りしててん」
「あらぁ~」 心のなかでは大笑いなのだが当然、声にはださない。
「そっかぁ~」それ以上に声をかけられない。とばっちりが来る前にテーブルに広げたパソコンを閉じて自分の部屋へ一次退却することにした。
リビングのテーブルに買ってきた品をエコバッグから広げる手際が遅い。かなり悔しそうだ。
「ホンマ大損やわ」僕の部屋まで声が聞こえた。損した額は聞かない。きっと夕飯の支度をしながらいつもの元気な嫁さんに戻ってくれるだろう 🙂